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イコライザーは素晴らしいツールの一つです。その中にリニアフェイズイコライザーと呼ばれるEQがあります。このイコライザーは特殊なプラグインで使いどころも限られますが、知っていればミックスを助けるツールになります。そんなリニアフェイズEQのオススメのVSTプラグインを紹介します。
リニアフェイズEQとは
リニアフェイズEQを説明するには Minimum phase EQを知る必要があります。アナログEQは、コンデンサとインダクタによって位相がシフトします(位相のずれ)。この信号に元の信号を組み合わせて機能します。このタイプのEQはMinimum phase EQと呼ばれ、ほとんどのEQがMinimum phase EQです。場合よっては望ましくないサウンドになる可能性があります。この効果は位相スミアリング(phase smearing)として知られています。
対してリニアフェイズEQはデジタルイコライザーで、回路設計が完全に異なります。Minimum phase EQがブースト・カットする周波数の位相をシフトするのに対し、リニアフェイズEQは信号全体の位相をシフトします。これにより、他の周波数の位相関係に影響を与えません。
リニアフェイズEQのメリット・デメリット
リニアフェイズEQのメリットは位相のズレが起きないことです。信号全体を位相シフトするので、位相の関係を維持します。また、デメリットにもなり得ますが、カラーがなく最もクリアなデジタルEQです。
リニアフェイズEQのデメリットはCPUを多く使う傾向があり、レイテンシーが増加します。そして、Pre-ringing(プリリンギング)と呼ばれる望ましくない副作用が発生する可能性があります。Pre-ringingはオーディオが始まる前に聞こえる可能性があるレゾナンスです。
リニアフェイズEQはいつ使うのか
ほとんどの場合、リニアフェイズEQは必要ありません。
ドラムミキシング
ドラムキットのマイクなどかぶりが発生するマイクは複数のトラックで同じ音が聞こえます。このようなトラックでわずかなディレイが起こると位相キャンセルが発生する場合があります。このような場合は、リニアフェイズEQが有効です。
ステレオレコーディング
ピアノやギターなどで複数のマイクを使ってレコーディングされたトラックはわずかなディレイにより位相キャンセルが発生する場合があります。このような場合は、リニアフェイズEQが有効です。
パラレルトラック
パラレル処理は同じトラックをコピーして使うので、位相も同じです。通常のEQでトーンが損なわれる場合は、リニアフェイズEQが有効です。
マスタリング
phase smearing はトラック全体に適用したときが最も明白になります。マスタリングではリニアフェイズEQは選択肢の一つになります。ただし、スミアリングした音が悪い音ではない可能性もありますし、アナログEQのカラーが好んで使われます。
オススメのリニアフェイズEQ
FabFilter - Pro-Q 3
Pro-Q 3 は、見た目も操作性も抜群の多機能なイコライザーです。リニアフェイズモードを搭載していて、切り替えることができます。
- 最大24のEQバンド
- LP、HPでブリックウォールが設定可能
- マスキングを視覚化
- EQ Match機能
- ダイナミックEQモード
- Mid/Sideモード
- ゼロレイテンシーモード
- リニアフェーズモード
- オートゲイン
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PLUGIN BOUTIQUE →
ADSR Sounds →
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PluginFox →
サウンドハウス →
Waves - Linear Phase EQ
Linear Phase EQ は、マスタリング用に開発されたEQで、元の音楽バランスを維持しながら、完全に位相シフトなしで倍音スペクトルを正確に制御します。
- 5バンド+低周波専用バンドのパラグラフィックEQ
- 9種類のリニアフェイズフィルター
- LowbandとBroadbandの2種類のプラグイン
- VST3、Audio Units、AAX Native対応
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Waves →
IK Multimedia - Linear Phase Equalizer
Linear Phase Equalizer はオーディオ素材にクリーンで透明な音色の介入を可能にする精密なツールです。
- 6バンドEQ
- 高品質のオーバーサンプリング
- 高精度で透明度の高いデジタルプロセッサー
IK Multimedia →
PluginFox →
まとめ
リニアフェイズイコライザーはこのように特殊なプラグインで、今すぐに必要なプラグインではないかもしれませんが、どれかひとつでも持っておくと良いかもしれません。
厳選されたエフェクトプラグインを紹介しています。詳細は、こちらの記事でチェックしてください。